菊月或斗@幾何学世界紀行

どうも菊月です。ブログのほうを始めました。小説やアレやコレを投稿していきたいと思ってます。よろしくお願いします。

幾何学世界紀行 第1章『消失少女』 act.3「瑠璃色の翡翠石」

数分後、新見高校に到着すると、やはり二人は既にいた。 紅葉のほうは頬を膨らませて何やら怒っているようだが、雪は校舎を見つめているだけだった。 「もー遅いじゃあないですか」 完全に予想通りの問だ。 何分たったと思ってるんですかとでもいいたげに、…

幾何学世界紀行 第1章『消失少女』act. 2「アビリティ・ホルダー」

「おっ、紅葉ちゃんじゃねぇか」 紅葉の案内の下、僕と紅葉は警察署へとやってきた。 警察署は、日本(前の世界)のそれより少し古風、否、中世ヨーロッパのような雰囲気すら感じさせる。 と、警察署から誰かが出てきた。 迎えたのは、僕達が会いに来た相手で…

幾何学世界紀行 第1章『消失少女』act.1「名探偵・紅葉」

―1― 翌日、記念すべき最初の依頼が舞い込んできた。記念するほどの事ではないし、できるならばさっさと元の世界に帰りたいのだが、そうもいかないのがこの世界だ。 僕、望月永斗が迷い込んだ街の正式名称は「帝都リベリオン」という。この名前は紅葉曰く、は…

幾何学世界紀行 序章『再会』

今生きている世界以外に、別の世界があるなら――そんな、「鏡の世界」に迷いこんだ、1人の男のお話。―0― 望月永斗は混乱していた。いつも通りに、22時きっちりに寝、朝起床したはずだった。しかし、目に飛び込んだのはいつも見ていた自室の天井ではなかった。…

秘封倶楽部と揺蕩うセカイ #4

―7― 「なんていうか……すごい……コレジャナイ感が……」 「幻想的じゃないと言ったら嘘になるけど……」 私たちは博麗神社裏から境界を越えることに成功した。が、超えた先、境界の向こうには、一面黒の世界――木や空など、全てが暗い色で包まれている――があった。 「現…

秘封倶楽部と揺蕩うセカイ #3

―5― 過去滞在1週間目。遂に宇佐見菫子が動き出した。私たちが未来から来たと信じきれていないのか、隠しているようだった。ただ、少し不器用で、隠しきれていなかった。彼女はちょっと友達と遊んでくるとか言っていたが、1週間ここにいてわかることがある。…

秘封倶楽部と揺蕩うセカイ #2

―3― 結果から言うと、実家では収穫は得られなかった。どうやら祖母が引っ越してきた時に処分されたようだ。 「はぁ……振り出しか……」 「そうね……って……?」 メリーが何かに気づいたみたいだ。するとメリーは家の2階を指さして言った。 「――何かがおかしい。こ…

秘封倶楽部と揺蕩うセカイ #1

この物語は差し当たり、1冊の本から始まる――。―1― 夏休み。私は、亡くなった祖母の部屋の掃除をしつつ、なにかおもしろい本がないか本棚を物色していた。祖母は調べごとが好きで、気になる事件などがあるとすぐに調べようとする。私も同じような癖があり、祖…